趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

Antiromantik und Romantik

 実は、19世紀前半の音楽はあまり好んで聞かない。シューベルトシューマンショパンベルリオーズメンデルスゾーン等々のいかにも「クラシック」といった音楽はほとんど聞かない(ただしベートーヴェンは聞く)。
 実家で両親が、聞きすぎていた(聞かせすぎていた)というのもあるかもしれない(ちなみにベートーヴェンはほとんど流れていなかった)。
 アンチテーゼとして(?)、僕は「バロック」の時代から音楽に入った。ヘンデルテレマン、ラモー、リュリ、ビーバー、ルクレール、フレスコバルディ、スウェーリンク、シャルパンティエマラン・マレ、ブクステフーデ、そしてバッハ。
 音楽史におけるバッハは、西洋哲学史におけるカントと同様、彼以前と彼以後とで大きく歴史を分ける存在である。バッハ以後という視点で、彼の子息たち、そしてハイドンモーツァルトベートーヴェンを発見していったのは言うまでもない。

 ビーダーマイヤーの時代の音楽を聞かないというふうに言ってのけてしまうこともできる、かもしれない。だからウィーン体制が崩壊する2月革命(3月革命)以後の19世紀後半の音楽には、非常に惹かれる。いわゆる後期のロマン派は、僕にとって第2の音楽の故郷である。ワーグナーでいえば『トリスタン』以後、ブルックナーマーラーR.シュトラウスetc...
 音楽の話は、尽きない。

R.シュトラウス:アルプス交響曲

R.シュトラウス:アルプス交響曲