趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

夜に捧げられた者たち

 どなたかは存じ上げないのだけれども、非常に有意義な指摘をtwitterでみかけたのでご紹介。

ブルックナー8番第3楽章の冒頭とトリスタンの愛の二重唱の伴奏が同じ

 手元に楽譜がないので正確には把握できないが、どうやらワーグナーの≪トリスタンとイゾルデ≫の第2幕の「愛の二重唱」の冒頭の弦のシンコペーションが、ブルックナー交響曲第8番の第3楽章の冒頭の弦のシンコペーションとかなり似ているということである。
 聴きくらべてみると、たしかにかなり似ている。3連符で始まることで揺らぎをはらみもつシンコペーション・パターンで伴奏するというアイデアは明らかにワーグナーからの影響とみていいだろう。ブルックナーは当然、バイロイトで≪トリスタン≫を聴いている。果たして総譜まで所有していたかは定かではないが、毎年のようにバイロイト巡礼をしているからには耳に焼き付いていくものがあったのかもしれない。
 ワーグナーからのさまざまな影響が楽譜から垣間見られるとき、非常にわくわくするものである。

ワーグナー管弦楽作品集

ワーグナー管弦楽作品集

*1

*1:このCDは内容と直接関係するものではないが、≪トリスタン≫と聞いて忘れられない録音の1つとして挙げておきたい。