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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

2015年ライブまとめ

 今年も多くの演奏会に訪れることができた。
 今年一番の演奏会はやはり≪フィガロ≫新演出である。練りあげられた脚本、和と洋が融合した舞台衣装、そして比類なき音楽の高み。忘れがたきオペラ体験となった。
 オーケストラや室内楽の演奏会にもたびたび足を運んだが、圧倒的な緊迫感でもって聴衆を虜にした、崔さんと上岡さんのデュオリサイタルを次席としたい。バッハのヴァイオリン・ソナタもさることながら、ショスタコーヴィチソナタは圧巻だった。ため息のごとく心から自然とブラーヴォの声が洩れ出てしまったのは久々のことだった。年の初めの演奏会だったが今なお強烈な印象は薄れない。
 そのほかライブで聴けてよかったのが大阪フィルによるマーラーの第3交響曲である。フィナーレの浄化の営みには心深く深くうち沈みこみ。第9交響曲に通ずる道はすでにかくしつらえてありき。そうそう生で聴けるものではないから本当に幸運だった。

マーラー:交響曲第9番

マーラー:交響曲第9番