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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

ニ短調への挑戦

 ベートーヴェンの第3交響曲といえば≪英雄≫、シューマンの第3交響曲といえば≪ライン≫、それではブルックナーの第3交響曲といえば?

Bruckner Symphony 3

Bruckner Symphony 3

 もっと演奏されてしかるべき、この第3番ニ短調の傑作版である。引きしぼられたテンポのうちにくっきりと明晰に描かれる細部とその全体は、フィナーレのコーダまで一瞬の隙もない。
 これがブルックナー交響曲の演奏の規範の1つであるとまでは思わないが、ここまで終始一貫した、集中力の高い演奏録音はそうそうあるものではない。ブルックナー交響曲の森を散策する人におススメする1枚である。