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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

現代最高の合唱曲作曲家

 タリス・スコラーズの来日演奏会で聞いて以来ずっと耳に残っていたアルヴォ・ペルトの合唱作品。
  

Part: Tintinnabuli

Part: Tintinnabuli

 恐るべき深淵が聞こえる。半音どうしの硬質な響きと単純化された三和音の響きが相互に増幅しあう。聞いたこともないサウンドが深々と広がる。
 現代における、ある種のスピリチュアルな音楽かもしれない。作曲者の静かなまなざしは、驚くべき深みをもってわれわれを射抜く。

 聞きながら、イタリアの後期ルネサンス期の作曲家カルロ・ジェズアルドの、強烈な不協和音を含みもつ合唱曲も思い出した。