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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

神話を思索することについて

 ジークバート=ベーツによれば、シェリングの「神話の哲学」の根本的な特徴、すなわち真理と言語に対する神話の関係は次のとおりである。

1 神話はオートポイエーシス(autopoietisch)である。神話は理念的に神を捏造したものの、それゆえ詩的主観性の産物ではなく、オートポイエーシス的な客観性が完成させたものである。神話は作られるのではなく自分自身を産み出し、自分自身の原因(causa sui)であり、それゆえ有機的な構造をなす。
2 神話は真理である。神話は有機的に編み出され、それゆえ自分自身の原因だから、完全に自己自身と一致している。
3 神話は自意的(tautegorisch, シェリングがコールリッジから借用した表現)である。神話の真理は――寓意のように――神話の外部に存在するのではなく、神話自身のなかにあるのだから、神話が意味するのは神話以外の何物でもない、すなわち自分自身である。
(第8章 第3節より)

 後期のシェリングは一なるものの思索の道を歩む。ハイデガーらへの影響は多大である。

シェリング哲学―入門と研究の手引き

シェリング哲学―入門と研究の手引き

  • 作者: ハンス・イェルクザントキューラー,Hans J¨org Sandk¨uhler,松山壽一
  • 出版社/メーカー: 昭和堂
  • 発売日: 2006/07/01
  • メディア: 単行本
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