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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

追想:中欧を旅して(前半)

 去年はプラハやウィーンへ、今年はライプツィヒドレスデンミュンヘン等のドイツ諸都市へ行くことができた。

【2018】プラハ&ウィーン

1.スキポール空港とタバコ

 プラハへの乗り継ぎでアムステルダムスキポール空港に降り立ったのが初海外となった。
 空港施設の余りの広さに圧倒されたことは言うまでもない。乗継便までに相当の時間があったから少しだけ屋外に出たが、世界的な禁煙の潮流などなんのその、玄関前広場で堂々とタバコをふかしている人々には驚かされた。ヨーロッパでは禁煙や分煙が相当進んでいるイメージを抱いていたが、実際にはそうでもなく、むしろ屋外喫煙についてはかなり寛容なようだった。
 彼らのタバコの匂いは、まさにヨーロッパのそれだった。いわゆる洋モクの香りだった。ここはオランダ、アムステルダム。海外に来ていることを実感した瞬間だった。

2.プラハ到着

 プラハに到着したのは23時前だった。送迎タクシーに乗って市街地へ向かう車窓から見える風景すべてが異国を感じさせた。右側通行するクルマと路面電車、街灯に染まる建物、ライトアップされたプラハ城。まるで映画でも見ているかのようだった。
 今から思えばプラハのホテルが一番良かったかもしれない。大通りから少しだけ路地を入ったところにあって、とても静かで居心地のよいホテルだった。どうやらもともとはアパートメントだったようで、過ごしやすさもうなずける。朝食で食べたチーズの美味しさも忘れられない。乳が、牛が違う。草が、水が、気候が違う。そんなことを痛烈に感じたものだった。

3.プラハの街で

 観光都市とあって街は観光客だらけだった。スタバやマクドH&Mは日本同様、大賑わい。日本ではもう見かけなくなったタバコ屋は街の至るところで見かけた。
 見どころはやはり旧市街ユダヤ人地区、モルダウ川、そしてプラハ城。お城の聖ヴィート大聖堂には、心底圧倒された。
 移動にはメトロが便利だったが、これが実に印象的で、施設外観やエスカレーター、券売機等のつくりがいわゆる「旧国鉄」感にあふれていたのだ。また、プラハでは、道端へのゴミのポイ捨てが日本では考えられないほど多く見られて面白かった。ここはプラハ、旧社会主義圏ということをうっすら感じたのだった。
 ちなみにアクティビティとしてはモルダウ川クルーズがおすすめ。所要時間は小一時間ほどで、足を休めて涼みながら旧市街の景色や軽食も楽しめる。

4.鉄道の旅

 プラハからウィーンへは電車での移動だったが、車窓から見える景色はまさにヨーロッパのそれだった。
 高い山はほとんどなく、延々と広がる平野と丘陵地帯。その田園風景のさなかに、現れては通り過ぎていく茶色の屋根の田舎町。そして唯一、空に高く伸びる教会の塔。これもまた映画で見た景色そのものだった。

5.近代都市ウィーン

 直前のプラハと比べて、ウィーンはあまりにも整然としていて小綺麗で、まさに近代都市の典型だった。ゴミのポイ捨てはほぼ見かけなかった。
 一方の雰囲気はというと、まさに京都。住むところではなさそうだったし、また田舎者には特に厳しい街だった。それでも、楽友協会の見学ツアーは音楽愛好家なら見逃せない。
 ホテルはたまたまコンツェルトハウスの近くで、ついでにコンツェルトハウスでの演奏会にも行くことができた。1900年代初頭のホールはまさにその時代を感じさせるつくりで、ここで聞いたマーラーの第3交響曲(これもまさに同時代)は忘れられない。

6.巡礼の旅

 旅のクライマックスは、聖フローリアン修道院教会ブルックナーファンの聖地であるが、これについてはまた別の機会にしたいと思う。

15 地球の歩き方 aruco チェコ 2019~2020 (地球の歩き方aruco)

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