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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

読書録:すぐわかる!4コマ西洋音楽史2

 82ページの記述を引用。

 いち早く立憲君主制による統治が成立し、産業革命が始まったイギリスにおいて、オルガニストで作曲家、音楽教師として活躍していたチャールズ・バーニーは、1776年から1789年にかけて、全4巻からなる『音楽通史』という本を著しました。この本は近代的な音楽史の基礎を築いたと言われています。『音楽通史』の第1巻には、音楽について、こう書かれていました。
 「音楽は罪のない贅沢であって、私たちの生活にとっては確かに不必要なものであるが、聴覚を大変発達させ、満足させてくれる」。それより約100年前に、平均律の先駆けとも言われる鍵盤楽器の調律法を考え出した、ドイツのオルガニストアンドレーアス・ヴェルクマイスターは、『高貴な音楽芸術の価値、使用、濫用』という著書の中でこう語っていました。「音楽は、神の賜物で、神の栄光のためにのみ用いられるべきもの」。わずか100年の間に、音楽に対する価値観は、「神の賜物、神のためのもの」から、「さまざまな人々が楽しめる罪のない贅沢」へと大きく変わったのです。
(※文字色、フォント改変は筆者による)

 ドイツとイギリスという地域差はあれど、オルガニストというかなり保守的な分野の音楽家の記述の対比という点で非常に興味深い。