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人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

ヴァイオリン奏者について

 好きなヴァイオリン奏者と聞かれれば、フランク=ペーター・ツィンマーマンやイザベル・ファウストをまずは挙げる。
 この選び方そのものがある程度、僕の趣向をあらわしているのだが、少し言葉を変えて、では深く敬愛するヴァイオリン奏者はいるかと聞かれれば、それはカール・ズスケだと答える。

 主に旧東ドイツで活躍したヴァイオリン奏者であり、ライプツィヒのゲヴァントハウスのオーケストラやベルリンのシュターツカペレ(国立歌劇場のオーケストラ)で長きにわたってコンサートマスターを務めた人物であり、それぞれのオーケストラの主席奏者を中心メンバーとする弦楽四重奏団(ゲヴァントハウス四重奏団およびベルリン四重奏団)の第1ヴァイオリン奏者(リーダー)でもあった。*1
 彼の真摯な取りくみは、すべて音になってあらわれている。
 バッハの無伴奏でも、ハイドン弦楽四重奏でも、そしてもちろんベートーヴェン*2でも。

*1:うろ覚えだが、バイロイトコンサートマスターだった時期もあったとか。

*2:余談だが、第15番のアダージョベートーヴェン弦楽四重奏のなかでももっとも好きな楽章である。