趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

100年という時間の軽薄さ

 すべて音楽が入口である。
 中学時代に『インヴェンション』や『平均律』を弾いてバッハにハマるというのはよく聞くが、その後の十数年そのまま中学時代を生きているような人間もいるわけで、僕にとってはJ.S.バッハの音楽がすべての扉を開いたと言える。西洋音楽、音楽の歴史、ドイツの歴史、ドイツ語、ドイツ語圏の思想文化etc... いまの興味関心のすべてに通ずる道は十四の時に準備された。
 
 勉強を存分にしたつもりでも、身についているかどうかはまた別の問題である。自分で目的をもって文章にまとめねば記憶は薄れる。そういうこともひしひしと感じつつ、ドイツ史をやる大学生向けのテキストを買った。

近代ドイツの歴史―18世紀から現代まで

近代ドイツの歴史―18世紀から現代まで

 時代でいえばヴァイマル時代からナチ体制崩壊までが最も興味をそそる。正直言って、怖いもの見たさという幼稚な欲望が根底にあるのは否定しない。それでも、知るべき時代である。100年たった今この日本に生きているからこそなおさら。