趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ハルモニアの高みから

休みの日の朝、今日はどんなふうに過ごそうかと考えながら、まずは音楽を聞こうとおもって、やっぱりこれだと。Palestrina Vol. 3アーティスト: G. Palestrina出版社/メーカー: Coro発売日: 2013/02/12メディア: CDこの商品を含むブログを見る ジョヴァンニ…

西洋世界の根本語

どういう言語体系なのかずっと興味があった。ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)作者: 小林標出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/02メディア: 新書購入: 4人 クリック: 41回この商品を含むブログ (52件) を見る 格変化、語尾変化、…

ヴァイオリン奏者について

好きなヴァイオリン奏者と聞かれれば、フランク=ペーター・ツィンマーマンやイザベル・ファウストをまずは挙げる。 この選び方そのものがある程度、僕の趣向をあらわしているのだが、少し言葉を変えて、では深く敬愛するヴァイオリン奏者はいるかと聞かれれ…

近代を飛びこえて

興味関心のある領域を分野横断的に照らしあわせてみると、どうやら「2つ」の特定の時代が浮かび上がってくる。【16世紀~17世紀】まだ神と王が統べていた時代、他方で個人の生にも光があてられ始めた時代 パレストリーナやフレスコバルディ、フローベルガー…

ねこは生きて、そして死んだ。

信州・安曇野のちひろ美術館の資料室には絵本が多数所蔵されており、ふと懐かしく思って手にとったこの本。100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)作者: 佐野洋子出版社/メーカー: 講談社発売日: 1977/10/19メディア: 単行本購入: 36人 クリック: 545回この商…

ブルックナーの≪パルジファルParsifal≫交響曲

仕事がひと段落し、ブルックナーの交響曲第8番のアダージョを聞く。ほっとしながら、朝日を迎える。 初稿の録音はあまり出ておらず、次の3つだけ保有している。名演コレクション:ブルックナー:交響曲全集アーティスト: インバル(エリアフ),フランクフルト放…

テクネーという語について

眼の前にお気に入りのペンが、ある。テーブルの上には水の入ったグラスが、ある。何かがそこに、ある。けれども、「ある」、この「存在している」ということ[Sein]それ自体を主語としてとらえたときに、我々はそれ以降記述する言葉を日常的には持ちあわせて…

絶対音楽の思想史

19世紀のドイツ音楽史の理解に非常に役立つ一冊。絶対音楽の美学と分裂する〈ドイツ〉: 十九世紀 (“音楽の国ドイツ”の系譜学)作者: 吉田寛出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2015/01/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 以下、特に興味深か…

100年という時間の軽薄さ

すべて音楽が入口である。 中学時代に『インヴェンション』や『平均律』を弾いてバッハにハマるというのはよく聞くが、その後の十数年そのまま中学時代を生きているような人間もいるわけで、僕にとってはJ.S.バッハの音楽がすべての扉を開いたと言える。西洋…

ナポレオン、ベートーヴェン、ヒロイズム

吉田寛さんの最近の著書である『音楽の国ドイツの系譜学』最終巻を読みながら、18世紀から19世紀への世紀転換期のうねりにうなりつつ、ベートーヴェンを聞きなおしている。 ナポレオンの大陸支配による神聖ローマ帝国の解体と成長過程にあったプロイセンの挫…