趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘッセの詩より『炎』

誰しも、心ざわつく日々がある。 そんな時、ヘルマン=ヘッセの詩は、よき理解者であり、道しるべである。 『炎』と題された短い詩は、私たちに優しく前向きに語りかけてくる。 おまえがつまらぬものの間を踊って行こうと、 おまえの心が憂いに苦しみ傷つこ…

読書録:バッハ『ゴルトベルク変奏曲』世界・音楽・メディア

一つの音楽作品を通じて、作曲家や音楽史、ジャンルや作曲技法を多角的に論ずる、音楽エッセイのお手本のような良書。バッハ『ゴルトベルク変奏曲』世界・音楽・メディア 理想の教室作者:小沼純一みすず書房Amazon これはバッハというよりゴルトベルク変奏曲…

読書録:ドイツ人のこころ

日本人のこころのふるさとは、何だろうか。 それは私が思うには、映画『男はつらいよ』であり、あるいは、じっとり雨降る、夏の宵、水田にこだまする蛙声。ドイツ人のこころ (岩波新書)作者:高橋 義人岩波書店Amazon 著者は、日本文化の根底にあるものとして…

中也の色彩-小川が青く光つてゐるのは

詩人・中原中也の色彩感覚に関して、極めて印象深い詩を、1933年から1936年にかけての未発表ないし草稿詩篇から二つご紹介。 朝 かがやかしい朝よ、 紫の、物々の影よ、 つめたい、朝の空気よ、 灰色の、甍よ、 水色の、空よ、 風よ! なにか思い出せない・…

ヨハネによる福音書16章22節『再会の予告』

ヨハネによる福音書の16章22節は、再会を予告する。 新共同訳では次のとおり。 ところで、今はあなたがたも、悲しんでいる。しかし、わたしは再びあなたがたと会い、あなたがたは心から喜ぶことになる。その喜びをあなたがたから奪い去る者はいない。 なお、…

ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ

チェコ東部、モラヴィア地方の作曲家ヤナーチェクが唯一完成させたヴァイオリン・ソナタ。ヤナーチェク : ヴァイオリン・ソナタ 他 (Prokofiev , Smetana , Janacek : Violin Sonatas , etc. / Josef Spacek (violin) , Miroslav Sekera (piano)) [輸入盤]ア…