趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

2021-01-01から1年間の記事一覧

フランスのガルニエ・オルガンで聞くバッハ

フランス東部ブルゴーニュ地方、ドイツとスイスの国境にほど近いベルフォールの町にはマルク=ガルニエが1984年に製作したオルガンがある。Joy of Bach ~ J. S. バッハ : オルガン作品集 / 中田恵子 (Keiko Nakata) [CD] [Import] [日本語帯・解説付]アーテ…

バッハ:ヨハネ受難曲(バッハ・コレギウム・ジャパンとコレギウム・ヴォカーレ)

2021年のイースターは4月4日である。 ここに甲乙つけがたい二つのヨハネ受難曲の演奏がある。奏者はいずれも、いわゆる老舗の古楽集団だが、方向性はかなり異なる。J.S.バッハ : 《ヨハネ受難曲》 BWV245 (1739 / 49版) / バッハ・コレギウム・ジャパン、鈴…

読書録:弁論術(アリストテレス)

ひとはよいものに惹かれる。ひとはよいものを求める。よいものとは何か。 アリストテレスは『弁論術』第1巻の第6章において、疑いようもなくよいものを10点列挙している。 幸福 精神の徳(正義、勇気、節制、寛大、鷹揚) 身体の徳(健康、美しさ) 富(所…

読書録:三つの内なる貧しさ(エックハルト)後編

前編においてすでにエックハルトの説話は完結しているようにみえるが、続きがある。 bachundbruckner.hatenablog.com 以下、ひとつひとつが少し長くなるが、いずれも極めて重要な、ひと続きの意味を形成する箇所であるので抜粋しつつも断片的にならぬよう引…