趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

読書録:知覚の哲学(メルロ=ポンティ)

メルロ=ポンティのラジオ講演(1948)を全7章にまとめ上げた一冊。第6章は「藝術と知覚的世界」と名付けられ、メルロ=ポンティの芸術論の核心が簡潔に述べられている。知覚の哲学: ラジオ講演1948年 (ちくま学芸文庫)作者:モーリス メルロ=ポンティ発…

読書録:国立西洋美術館 名画の見かた

東京上野の国立西洋美術館へ行ったことがある人にも、行ったことがない人にも、おすすめの一冊。国立西洋美術館 名画の見かた作者:渡辺 晋輔,陳岡 めぐみ発売日: 2020/01/24メディア: 単行本 西洋画の解説本だが、まるで常設展の学芸員ツアーに参加している…

読書録:カントの批判哲学

ドゥルーズによるカントの批判哲学の読み直し。翻訳と解説は國分功一郎である。違和感のない日本語訳、そして非常にわかりやすく有用な解説が読者の理解を大いに助ける。カントの批判哲学 (ちくま学芸文庫)作者:ジル ドゥルーズ発売日: 2008/01/09メディア: …

読書録:自由の哲学者カント カント哲学入門「連続講義」

自由という視点からみるカント入門書である。自由の哲学者カント~カント哲学入門「連続講義」~作者:中山 元発売日: 2014/04/18メディア: Kindle版 カントの批判哲学を中心に、宗教哲学や政治哲学も含めて、カントのエッセンスが平易な言葉で次々に明らかに…

構想力とはなにか

カントのいう構想力について詳しくみていきたい。縮刷版 カント事典発売日: 2014/05/29メディア: 単行本 想像力ないし構想力[Einbildungskraft]について、2014年に弘文堂より刊行された『カント事典』によれば次のとおりである。 構想力はカントによれば、「…

読書録:判断と崇高 カント美学のポリティクス

132ページのこの箇所を読んで初めて、カントの崇高論の奥深さに気づいた。判断と崇高―カント美学のポリティクス (新潟大学人文学部研究叢書 (5))作者:宮崎 裕助メディア: 単行本 美と崇高の違いについて述べた『判断力批判』の一節に戻ろう。「自然の美しい…