趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

2022-01-01から1年間の記事一覧

読書録:ふしぎなキリスト教

宗教社会学の立場から見るキリスト教入門である。ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)作者:橋爪大三郎,大澤真幸講談社Amazon 日本はもとより世界的に見ても、多神教(八百万の神々)こそ、この地球上で最も由緒ある、スタンダードな宗教類型である。 にもか…

読書録:アウグスティヌス 「心」の哲学者

教父アウグスティヌス(354-430)の生涯と思索を生き生きと伝える良書である。アウグスティヌス――「心」の哲学者 (岩波新書)作者:出村 和彦岩波書店Amazon キリスト教に目覚め、回心するまでのアウグスティヌスの内面や私生活は、非常にドラマティックである…

読書録:聖書の読み方

正典として読むにせよ、西洋古典文学として読むにせよ、およそ聖書を読むにあたっては適切な導きが必要である。聖書の読み方 (岩波新書)作者:大貫 隆岩波書店Amazon 著者は、キリスト教における共通了解である「使徒信条(信仰宣言)」を聖書読解の導きとす…

読書録:はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

画期的なスピノザ入門書である。 論点はいくつもあるが、ここではスピノザの一元論に的を絞って見ていきたい。はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書)作者:國分功一郎講談社Amazon 筆者はスピノザ哲学を次のように要約する。 神は絶対的な存在…