趣味愉楽 詩酒音楽

人文系の書籍やクラシック音楽にまつわるエッセイ集

ヘルダーリン:あたかも祭日のように

 ヘルダーリンの " Wie wenn am Feiertage..." の第6節4~5行目の訳し方について。

【原文】
 Die Frucht in Liebe geboren, der Götter und Menschen Werk
 Der Gesang, damit er beiden zeuge, glückt.

愛の結実が 神と人との作り成した
歌がめでたく誕生し 神人双方を証しする。
(川村二郎『ヘルダーリン詩集』より)

愛の果実が生まれ、神々と人間を証しするため、
神々と人間との業である歌ができる。
(濵田恂子『ハイデッガー全集第4巻 ヘルダーリンの詩作の解明』より)

愛の中で果実を、神と人間の作品である歌を生む、
両者を証言するために。
(高木昌史『ヘルダーリンと現代』より)

 ヘルダーリンの真骨頂ともいえる箇所である。また、この箇所の理解は、ハイデッガーの後期の思索の理解にも大きく寄与する。

(私訳)
 愛のうちに生まれる果実、神々と人間の所産、
 歌よ、まさに歌が神々と人間のいずれをもまことに証しするために。